アクアブルーの少女 その5

「いや、あいつはただの幼馴染だけど…」

「そうなの? よく一緒にいるから、あたし…」

「なんだ、そんな風に思ってたのかよ…」

「ご、ごめん。じゃあ、藤田君、今フリーなんだ?」

「まあ、情けないけどそういうことになるな」

「じゃあ、立候補しちゃおうかな…」
 岡田が独り言のようにつぶやく。

「な、なに言ってんだよ…」
 と言いながら、岡田の方を見てみる。
 この前まで委員長をいじめていたようなやつでも、よく見ると結構かわいい。
 まあ、ギャルゲーのキャラだからな…とかわけのわからないことを考えていると…

「あ、ごめんごめん。今の冗談。忘れてよね」

「岡田ぁ、さっき転んだので頭がどうかしたんじゃないのか?」

「ひどーい! 半分は藤田君のせいじゃない!」

「あ、そうだったな、わりぃ、わりぃ」

「ところでさぁ、岡田って名前なんて言うんだ?」

「え? あたし? 名前は栞だけど…」

「『しおり』か。どんな字書くんだ?」

「本に挟む栞っていう字」

「そうなのか。結構いい名前だな」

当たり前じゃない。cammyってお兄さんが付けてくれたんだから

「ん? なんか言ったか?」

「ううん、なんにも」

「そうか?
 ふぅ、ごちそうさま」
 弁当を食べ終わった浩之が食後の挨拶を済ます。

「ねぇ、どうしてそんなこと聞くの?」

「うーん、そうだな、さっきのOKだからかもな…」

「え? さっきのって?」

「おいおい、立候補とかなんとか言ってたじゃねーか」

「え? え? そ、それって…」

「おい、しっかりしろよ。ほんとにどうかしちまったんじゃねーのか?」

「だって急にそんなこと言われたら、誰でもこうなるわよ」

「で、どうなんだよ。お前の方は?」

「あたし? あたしは…
 OK…かな…」

「ん? なんかよく聞こえなかったぞ」

「もう! 何度も言わせないでよ。恥ずかしいんだから!」

「じゃあ、今度の日曜空いてるか?」

「えーと、特に予定はなかったと思う」

「じゃあ、遊園地でも行かねーか? 嫌なら他考えるけど」

「ううん、そこでいい」

「朝10時に駅前な。遅れんなよな、栞」

「し、しおり?」

「そう呼ばれるの、嫌か?」

「べ、別にいいけど…
 浩之の方こそ遅れないでよね」

END(なのか…?)


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