アクアブルーの少女 その4
岡田の弁当箱は本人の言った通り、小さなものだった。
今時の女子高生が持ってきているような可愛らしいもので、男目に見ると少し恥ずかしい。
「はい、どうぞ」
少し体を起こして浩之に弁当箱を渡す岡田。
「あ、あのさぁ…」
受け取りはしたものの、ちょっとした問題に気付き、浩之はそう切り出した。
「何? 藤田君」
岡田はわかっていないようである。
「この箸を使うのはちょっとまずくねぇか?」
途端に岡田の顔が赤く染まる。が、
「…べ、別にいいわよ。ちゃんと洗ってるし…」
岡田がなんでもないという風に答える。
「そうかぁ? まぁそういうんなら使わせてもらうか…」
結構腹が減っていたこともあり、浩之は岡田の箸で食べることにした。
「おわぁ、こりゃ、なかなかすごいじゃねーか」
弁当箱のふたを開けた浩之は、小さいながらも豪華な中身に驚きを見せる。
「そ、そんなことないわよ」
あわてて岡田が否定する。
「いやいや、そんなことあると思うけどな…」
とかつぶやきながら、浩之は食べ始めた。
「うん、味もかなりのもんだ。これ、岡田が作ったのか?」
「うん、お母さん、朝出るの早いから…」
「あ、そうなのか? それにしても岡田って結構料理うまいんだな」
「そ、そんなことないわよ。家庭科の時間だって神岸さんと同じ班だけど全然かなわないし…」
「あかりはおフクロさんが料理のプロだからうまいのは当然だ」
「そ、そういえば、藤田君、神岸さんとは付き合ってるの?」
「ぶっはぁーー。いきなり何言い出すんだ」
急にそんなことを言われ、浩之は口にしていたおかずを吐き出してしまった。
「ち、ちょっと、大丈夫?」
「う、うん、まあな」
汚れた床を掃除しようとする岡田を制し、浩之は床を片付けながら考えをめぐらした。
俺とあかりが? そんなわけ…と思いかけた浩之だが、そこで思考が止まる。
今まで幼なじみとしか考えてなかったあかりだが、改めて自分の気持ちを考えてみると、ホントにそれだけか?という疑問が浮かんでくる。
気付かない内にあかりをただの友達以上に感じはじめているのかも知れない…
浩之は…
A.「まあ、付き合ってるのかもな」
B.「いや、あいつはただの幼なじみだけど」